岐阜県内の公立小・中・義務教育学校、高校、特別支援学校629校から地区・校種が偏らないように17校を抽出。対象教員688人(管理職・非正規含む)のうち613人に配布し、396人から回答を得た。(回収率64.6%)実施日:2020.12.20-2021.1.20
導入前提が全く成立していない
「1年単位の変形労働時間制」
組合連絡会議は、「1年単位の変形労働時間制」に関するアンケートを、岐阜県内の公立小・中・義務教育学校、高校、特別支援学校629校から17校を抽出して実施しました。対象教員688人(管理職・非正規含む)のうち613人に配布し、396人から回答を得ました(回収率64.6%)。この回収率の高さは、マスコミがおこなう多くの世論調査を上回っており、教員世論が反映された結果を得ることができたといえます。
1.1年単位の変形労働時間制について
・校種を問わずに5割ほどの人が「理解していない」と回答。どんな制度なのかが、まだ広く周知されていないことを示す結果でした。職場で理解されないまま、導入することがあってはなりません。
2.1年単位の変形労働時間制の導入に期待していますか
・「はい」は、小学校では1割を超えるものの、他校種では1割未満に過ぎないことが明らかになりました。どの校種でも5割前後の人は明確に「いいえ」と回答。「どちらともいえない」も4~5割あり、導入には否定的な人がたいへん多いことが示されました。職員が望んでもいない制度を導入しても、職場を物理的・精神的に多忙に追い込むだけになります。
・子育て・介護が負担となっている人は、負担になっていない人より「2導入に期待」に対して明確に「いいえ」と答える人が多いことが分かりました。
4.2020年の年休はどれくらい取得しましたか
・「働き方改革2020」で目標とした5日を超える年休を取得したのは7割ほど。特に中学校では年休消化率が低いことが示されました。
5.時間外在校等時間の申告について
・「あまり」「ほとんど」を合わせて「正確に申告していない」のは全体で27%。「いつも・おおよそ正確に申告している」のは7割ほど(質問は異なりますが6月の「勤務改善3分間アンケート」では8割ほどが「ほぼ正確にしている」と回答していました)。高校では「正確に申告していない」が40%となっています(高校が他校種と比べて正確に申告していない傾向か強いのも6月と同じです)。依然として時間外在校等時間が正確に把握できていないことが示されました。今のままでは1年単位の変形労働時間制導入の前提が成立していません。制度の導入を検討するより以前に、「いつも正確に申告している」人がもっと増え実態が正確に反映されることが必要です。
6.授業のある期間の上限方針「月45時間」について
・特支では9割が「守れている」のに対して、中学校では7割が「守れていない」。小学校・高校も5割前後が「守れていない」。1年単位の変形労働時間制の適用が個人単位か学校単位かまだ明確ではないが、多くの学校では前提条件が満たされていないことが明らかです。
・「5時間外在校等時間の申告」と関連づけると、「守れている」人は「正確に申告している」が8~9割あるのに対して、「守れていない」人は「正確に申告していない」が4割強。本来、長時間勤務の教員の業務をどう削減するかに向き合わなければならないのに、このままでは該当教員の実態が見えなくなっていきます。
7.上限方針を守ることに関して、管理職等からパワハラと感じる言動がありますか
・どの校種も「いいえ」がもっとも多いが、「はい」が5%前後。パワハラに関する言動はゼロであるべきで、全体で6%あることは問題です。
8.持ち帰り仕事について
・「全くしていない」人が全体で2割近くいる一方で、小学校では「いつも」「しばしば」を合わせると6割近い人が持ち帰り仕事をしています。他校種も4割を超える人が持ち帰り仕事をしており、この時間を時間外勤務として把握しないのは問題です。
9.学校再開後の持ち帰り仕事は昨年度までと比べてどうなっていますか。
・「8.持ち帰り仕事」と関連づけると、「いつも・しばしばしている」人は「増えている」「あまりしていない」人は「減っている」と回答している人が多い。持ち帰り仕事の二極化がより進んでいるといえる。学校での業務も、在校等時間を守れる人と大きく超過する人とを二極化させるものとなっていないか、把握する必要があります。