2024年度勤務実態アンケート・在校時間「正確に記録しない」が増加!

21年目となる組合連勤務実態アンケートに今年も1056名の教職員の皆さんにご協力をいただきました。ありがとうございます。この結果を基に、県教委との交渉や懇談で教職員の働き方改善を訴えていきます。集計結果と分析をお伝えします。

2024年度 組合連・勤務実態アンケート

実施期間:2024年6月10日(月)~16日(日)

回答者数:1056名(小488名、中260名、高203名、特支105名)


勤務実態アンケートの実態から改善を!

仕事を減らし、人を増やそう

持続可能な教育現場を

 私たちは、教員が心身を壊すことなく、熱意や希望を失うことなく、元気で働き続けられる学校であることを願っています。心身を壊して休まざるを得ない、教員の仕事に失望して辞めていく教員をなくしたいと切実に思っています。給特法を改正して教職調整額を増やすという議論もありますが、「教員を増やし、仕事を減らしてほしい」というのが多くの教員の一番の願いでしょう。

 

子どもたちのための余裕を

 私たちは、余裕のある働き方をすることで、子どもたちと接する時間が増え、しっかり教材研究をして良い授業ができることを願っています。忙しいと教員同士が悩みを相談する余裕もなく、事情を抱えている子どもたちの変化に気づきにくくなります。

 

教職は本来魅力あるもの

 教員の志望者が増えることは社会全体の願いです。「教職魅力化」と県教委は言っていますが、教員という仕事は充分に魅力的です。しかし現実は、「定額働かせ放題」の⾧時間勤務や、ストレスの多い仕事内容が世の中に広く知られることで、教員の志望者が減っています。そのため、病休や産育休の補充が見つからず、さらに多忙になるという負のスパイラルに陥っています。

 

組合活動でさらに改善を

 教員の働き方改革を進めるためには、幅広く世間に学校現場の勤務実態を知らせ、その上で「仕事を減らし・人を増やす」をことを県教委に訴えていくことだと私たちは考えます。

 今後とも組合活動にご協力をよろしくお願いいたします。


昨年度から大きな改善なし

 (表1)「校種別」の平日は、中学校の勤務後が昨年度と比べて増えているものの、全体としては時間外勤務が減少し、休憩時間は微増するなど、やや改善されていると言えます。組合の交渉や運動の成果で「働き方改革」が前進したのでしょうか。しかし、土日を見ると小・中学校は時間外勤務は増えているところがあります。全体的に休憩時間がほとんど取れない状態も変わらず、大幅な改善が見られたとは言い難い状況です。

 

 (表2)「年代別」では、若い世代ほど時間外勤務が多い状況があり、慣れない業務をこなすことに精一杯であったり、若い世代に多くの仕事が偏っていたりするのではないかと危惧します。


時間内に本来の業務が終わらない

 (表3)「時間外に行っていた業務」の多くは、本来勤務時間内に終えなければならない「授業準備等」や「児童・生徒に関すること」が上位となっています。また、「事務作業」や「部活動(中・高)」、「地域活動協力(高・)」など、教員でなくてもできる業務を選別し、外部委託するなど、負担を軽減する工夫が必要です。


「正確に記録しない」が年々増加

 組合連調査と県教委調査には大きな差がありますが、その原因は、「休憩時間の労働時間」や「持ち帰り仕事の時間」を県教委が調査していないということがあります。さらに、教員が県教委の調査を正確に報告していないことも問題です。組合との交渉の中で、県教委は「正確に報告すべき」と管理職に指導していると言いますが、(表4)「正確な入力をしている」割合は年々減っています。

 (表5)「正確に入力しない理由」として、「『45 時間超』の報告等をしたくない」「勤務改善につながらない」が上位となっています。「働き方改革」と言いながら「早く帰ってください」としか言わず、長時間過密労働が解消されないことに、多くの教員が失望しているのではないでしょうか。



「教職員を増やす」が一番の願い

 (表6)「実現して欲しい『働き方改革』」として求められていることが「教職員を増やす」で、圧倒的な95%が選択しています。続いて「事務を削減」が90%を超えており、切実な願いとなっています。

 県教委は「働き方改革」を進めるため、勤務が19 時を超える場合や月45 時間を超えた際の報告書を現場の教職員に求めています。しかし、何年もこのような報告を提出しても一向に改善が見られず、現場の教員には改革に対する失望感さえ感じられます。


約半数が「心身の不調」

 (表7)「教職員生活でもっとも悩んでいること」が「心身の不調」です。分掌や業務、授業などの悩みは教職員間で相談したり補ったりするなどの工夫次第では改善の可能性がありますが、そもそも長時間多忙化によって、体だけでなく精神的にも極度の疲労が蓄積しています。何よりも今すぐ教職員を増やさなければ、この状況を改善することはできません。


大問題「一年単位の変形労働時間制」

 (表8・9)「一年単位の変形労働時間制」について、今年度から導入されていますが、制度を「知らない」が47%を超え、活用したいかの質問にも「わからない」が63%と多数を占めています。

 繁忙期に長時間働いた分を後からまとめて休んでも疲れが完全に取れる訳ではありません。その都度4 週間単位の「振替」などで無理なく働ける労働環境を、県教委に要求しています。


教育現場の声

  • 理不尽なクレーム対応に疲弊。保護者からのカスハラから教員を守ってほしい。
  • 成績の所見をなくしてほしい。何回も提出・修正のくり返しは勤務時間内では不可能。
  • 年度初めの負担軽減を。きちんと学級開きをするために、年度初め休業日の延長を。
  • 人員確保はとても重要。結局子どもたちにしわ寄せがいくことになっているのが現実。
  • 早く帰らないといけない雰囲気があり、授業づくりをしたいが勤務延長(19 時~)が面倒。
  • 定年延長で65 歳まで働くようになるが、給料が減るのであれば業務も減らしてほしい。
  • 担任でなくてもできる事務仕事(プリントの仕分け、配布、集計、テスト採点、机の高さ調整、掲示など)の負担を減らしてほしい。