結局、教職調整額はどうなるの?

「給特法」制定以来初めての教職調整額引上げ

1月末に開会される通常国会で、教職調整額の改正案が審議されます。以前からお伝えしているとおり、2025年度から一気に13%へ増額することを求める文部科学省と、残業時間の削減を条件に10%まで段階的に増やす案を示した財務省の意見が対立していました。

 

報道によると、2025年度中(2026年1月)に現在の月給の4%から5%、30年度までに10%へ段階的に引き上げられる案で決着したようです。増額は自治体の条例改正を経て実施されます。教職調整額の変更は、1972年施行の「給特法」で「基本給の4%」と定められて以来初めてのことです。

「調整額」を引上げても多忙化は解消しない

教員の待遇改善そのものは歓迎すべきことですが、多くの教員の願いは教員の多忙・長時間勤務の解消であり、そのための負担軽減や教員の増員です。文科省も財務省も、教員の「働き方改革」推進には前向きですが、根本的な解決につながる教員の大幅増員や、教員の時間外勤務抑制となる「残業代」支給には否定的なままです。たとえ教職調整額が10%になっても、教員の時間外労働には見合いません。

 

文科省・財務省は2029年度までに時間外在校等時間を月平均30時間程度にする目標で合意しました。文科大臣は12月には、自治体ごとの在校時間を公表する制度をつくり、さらには働き方改革の進展状況を校長の人事評価に導入すると発言しました。これは、いわゆる「時短ハラ」を横行させ、在校等時間の記録の不正や持ち帰り残業を増やす可能性もあります。これで教員志願者減の歯止めとなるのかきわめて疑問です。

 

教員の同僚性を壊す案も次々と

校長ら管理職を補佐する主幹教諭の下に、若手教員を支援するポストを新設し、基本給に月額6,000円程度を上乗せする案も提出される可能性があります。これによって教員間に上下関係ができて、自由に発言できなくなったり、競争の激化や責任の押しつけで負担増になったりという問題も生じます。それだけでなく、一般教員の給与引下げによって、新ポストの給与引上げの財源を生み出すといった改悪につながる可能性を含んでいます。

 

学級担任に月額3,000円の手当支給、校長や教頭などの管理職の本給改善などの他、小学校の「教科担任制」を現行の5、6年生から4年生に拡大する提案もなされる予定です。歓迎すべき一面もありますが、配置される学校数も人数も少ないままです。全国的に教員未配置が問題となる中、「教科担任」となる教員が確保できるのかといった心配もあります。 

ゆきとどいた教育を組合とともに!

「調整額」や「手当」が増額されることを歓迎する人も多いでしょう。しかし、いくら手取りが増えても人手不足解消や業務削減が進まない限り、根本的な解決にはなりません。教職員組合は、教育予算を増やし、教員増をすすめ、無駄な業務や研修等をやめ、子どもたちの発達を保障する教育条件整備をすすめることを国にも県にも要望しています。多くの教職員の皆さんが組合に結集し、ともに声を上げる力となることを願います。