ほんりゅう 2024年12月20日(長谷川)

分断したままのアメリカ、内閣が崩壊したフランス・ドイツ、戒厳令が発令・撤回された韓国、そして裏金が払拭できない日本。ロシアやパレスチナの戦闘も終わりが見えない。不安定なまま新年を迎える▼SNSがさらに世界の混迷に大きく影響している。アメリカではQアノンが暗躍したが、兵庫県知事選では抗議・訂正が間に合わない大量のフェイクニュースの裏側に、知名度アップ・ポイント稼ぎが疑われる人物や公職選挙法違反の請負企業が暗躍した。そこには関心ある情報ばかりを次々と表示(フィルターバブル)するネットの機能も寄与した。一度フェイクニュースに触れると抜け出せなくなり、異なる意見・正しい情報はどんどん見えなくなる▼第一次大戦後に過大な賠償金に苦しんでいたドイツ国民は、ヒトラーに吸い寄せられた。「熱狂する大衆のみが操縦可能である」と考えたヒトラーは、ゲッベルスにあらゆるメディアを駆使して反ユダヤ主義などのプロパガンダを行わせ、国民を熱狂させた▼世界規模で経済格差が拡大し、税負担を免れたIT企業などの利益が増大し続ける一方で衰退する産業に関わる人々の不満が爆発している。各国国民は、国際協調よりも自国の利益・自己の生活を守ることに必死になっている。不安の増大や内向きの考えは、民主主義を無視した強力なリーダーへの期待につながりかねない。

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