2023年度勤務実態アンケート「県教委調査との差は二倍以上!長時間勤務に歯止めを」

20年目となる組合連勤務実態アンケートに今年も1167名の教職員の皆さんにご協力をいただきました。ありがとうございます。この結果を基に、県教委との交渉や懇談で教職員の働き方改善を訴えていきます。集計結果と分析をお伝えします。

2023年度 組合連・勤務実態アンケート

実施期間:2023年6月12日(月)~18日(日)

回答者数:1167名(小498名、中304名、高255名、特支111名)



休憩時間も取れず、勤務終了後も業務が…

どの校種も、勤務時間の約30分前から仕事を始めています。そして45分の休憩時間は十分とれていません。小学校では平均約4分しか休憩していません。休憩時間に仕事をしているということです。給食指導はもちろんですが、いくつかの小中学校では、休憩時間に授業時間を設定している学校もあります。

校種による差はありますが、勤務時間終了後でも学校内で1~2時間の仕事をしています。学校外でも、いわゆる家への「持ち帰り仕事」を中心に仕事をしています。現在すすめられている「働き方改革」の方針では、本来は「持ち帰り仕事はしてはいけないこと」になっていますが、せざるを得ないのが現状です。

 

土日に関しては、校種によって大きな差があります。小学校や特別支援学校の教員も、平日に学校に出勤して仕事せざるを得なかったり、家庭で仕事をせざるを得なかったりする方が多いのですが、やはり部活動の指導がある中学や高校の教員は、土日により多くの時間、働いています。

上記のデータを県教委調査と比較するために、1か月に換算したのが右表です。県教委調査では、休憩時間は休憩したものとして労働時間に入っていませんし、「持ち帰り仕事」も県教委は「認められない」として、調査すらしていません。

私たちの調査は休憩時間の労働も持ち帰り仕事も入っているため、実際に働いている時間は、どの校種を見ても、県教委調査の2倍以上となっています。高校に至っては、3倍程度になっています。

 昨年度と比較しても小学校・特別支援学校では時間外勤務が増えています。コロナ対策が緩和されて、学校行事や部活動の指導時間が増えたことが理由として考えられます。


正確に記録しないが増加

組合連調査と県教委調査に大きな差が生まれる原因は、県教委が調査していない「休憩時間の労働時間」や「持ち帰り仕事の時間」のほかに、教員が県教委の調査を正確に報告していないことが考えられます。これについては、県教委も「正確に報告すべき」と指導し、組合も同様に正確な入力を訴えていますが、実際には6割強の教員しか正確な入力をおこなっていません。しかも、正確に入力している方が昨年度よりさらに減ってしまいました。

正確に入力しない理由としては、県教委の勤務時間調査が、「勤務改善につながらない」と、なかばあきらめていることがわかります。同時に、勤務時間外に一定時間以上働くと、報告や改善が求められる。つまり、遅くなったのはあなたの努力が足りないから、自分で改善方法を考えなさいということです。個人の努力ではなんともならないから、遅くまで仕事したり、家で仕事しているのに、あたかも自分の努力や能力が足りないかのようにされてしまうことに、多くの教員が失望しています。

教員の多くは、「早く帰れというなら仕事を減らしてくれ」「人を増やしてくれ」と望んでいます。



手が抜けない業務で時間外に

勤務時間外にはどのような仕事をしているのでしょうか。

左の表で黄色で示したものが各校種の上位3位です。授業準備、分掌の仕事、担任業務など、勤務時間内にしなければならない仕事です。手を抜けないことだからこそ、勤務時間外になっても仕事をしているのが現状です。さらに、中学校・高校では、部活動が上位に来ています。


教育現場の声

  • 時間外勤務が45時間を超えるとどう改善するかと聞かれるが、やらなければならない業務をこなしてたのに指導され、矛盾を感じる。(30代)
  • 以前、正確に書いたところ、時間がオーバーしてしまい、指導を受けた。学校に居たくているのではない。(50代)
  • 市教委訪問で「朝の勤務をつけないなど時間を減らすように努めてはどうか」と言われたが、数字だけ減らしても改善はしない。(40代)
  • 午後7時以降は事前に申請して学校に残らなければならないが、7時退勤としてしまうことが多い。(20代)
  • 低学年の空き時間が欲しい。宿題も見られない。休み時間ごとの子どものけんか、けが対応、何もできない。(40代)
  • 小規模学校だと出張や研修が被ると職員が不足して子どもたちを見届けられない。(40代)
  • 研究授業、訪問などの準備をなくしたい。来てもいいが普段の様子を見てもらい、特別なことをしない。(30代)
  • 子育てとの両立は不可能。祖父母がいなければやっていけない。核家族、一人親はやめるしかない。(30代)
  • 自分の時間が取れない。疲労が取れず、常に疲れている。(30代)

働き方を改善するために力を合わせましょう!

学校で働いている教員が、心身を壊すことなく、熱意や希望を失うことなく、元気で働き続けられるような勤務となることを願っています。心身を病んで休まざるを得ない、教員の仕事に失望して辞めていく教員をなくしたいと切実に思います。給特法を改正して教職調整額を増やすという論議もありますが、「賃金を多してほしい」よりも「仕事を減らし、教員を増やしてほしい」というのが多くの教員の願いでしょう。

余裕のある働き方をすることで、子どもたちと接する時間を増やしたり、しっかり教材研究をして、良い授業をしたいと多くの教員が願っています。忙しいと教員同士が悩みを相談する余裕もなく、事情を抱えている子どもたちの変化に気づきにくくなります。

さらに教員の志望者が増えることは社会全体の願いです。しかし現実には、「定額働かせ放題」の⾧時間勤務や、ストレスの多い仕事内容が世の中に広く知られることで、教員の志望者が減っています。教員の仕事に夢を抱く方をたくさん迎えたいと願っています。

私たちは、教員の働き方改革を進めるためには、多くの皆さんに、教員の本当の勤務実態を知らせ、その上で「仕事を減らし・人を増やす」をことを県教委に訴えて行きたいと考えています。今後とも組合活動にご協力をよろしくお願いいたします。

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コメント: 1
  • #1

    変える気のない教育委員会 (木曜日, 11 4月 2024 22:23)

    記事以外にもありえない事は腐るほどある。
     国のICTに関する調査では、正しく調査した結果を強制的に嘘の報告に変えさせられた それ以外にも数えきれないほどの事がある。腐り切っている。
    岐阜市の一教員よ。