「1年単位の変形労働時間制」反対の記者発表を行う(9/4)


2023 年9月4日

岐阜県教育委員会

教育⾧ 堀 貴雄 様

岐阜県の学校教育をよくする会

西村 祐二

⾧谷川督翁

要 望 書

貴職におかれましては、本県教育の振興と教職員の待遇改善にご努力いただき敬意を表します。

さて、岐阜県教育委員会は、この夏に「一年単位の変形労働時間制」に関する全教職員対象のアンケートを開始しました。

この一年単位の変形労働時間制は、深刻な教員の⾧時間勤務を見えなくするのみならず、助⾧させることも考えられ、現在岐阜県教育委員会が推進している「働き方改革」にも逆行するものと考えます。また、教員の⾧時間勤務の根本的な解消とはならないことから、教員採用試験の倍率の低下や、教員未配置の深刻化、ひいては子どもたちのための教育の質の低下をもたらす恐れがあると考えます。

実際に条例制定に慎重な自治体も多く、昨年度の国の調査では都道府県の76.6%、政令市の95%で条例が作られていないことが明らかになっています。

さらには、自治体での条例制定の条件を満たしていないとも考えられます。

以上のことから、以下のことを要望いたします。

 

<要 望 事 項>

1. 一年単位の変形労働時間制を導入する条例を議会に提案しないこと。

 

<理 由>

  1. 教職員の病気休暇・休業の発生時期は5~6月が最多です。「一年単位の変形労働時間制」の導入は「繁忙期」の⾧時間労働の状態を見えにくくし、かつ容認することになり、より⾧時間勤務を深刻化させる可能性もあります。結果として教員の心身の負担がより深刻化する恐れ、病休等が増加する可能性があります。
  2. 「繁忙期」の心身の疲労を解消が可能となるのは、その4週間以内と考えられます。勤務時間を短縮したり休日のまとめ取りが想定されている⾧期休暇期間などまで疲労回復の機会を遅らせることは、疲労回復にはつながらないと考えられます。
  3. ⾧期休暇期間において、現在岐阜県教育委員会は「夏季休暇」の取得のほか、年休の取得を推奨しているため、休日のまとめ取りは、年休取得を少なくするだけと考えられます。そもそも、⾧期休暇中においても教員には様々な業務があり、休日のまとめ取りは困難です。
  4. 「繁忙期」の勤務時間の延⾧は、在校等時間の統計上では時間外勤務が減ったように見えるため、真の「働き方改革」の推進に水を差す可能性があります。
  5. 文科省の指針では、「1年単位の変形労働時間制」導入の条件は、「対象となる教育職員の在校等時間に関し、指針に定める上限時間(42時間/月、320時間/年等)の範囲内であること」となっています。岐阜県教職員組合が実施する「勤務実態アンケート」では、この条件を満たしていません。同時に、岐阜県教育委員会がおこなっている在校等時間の統計ではこの条件を満たしているかのように思われますが、休憩時間中の労働時間が加算されていないだけでなく、不正確な記録が多数含まれることがわかっています。
  6. 岐阜県ではすでに勤務の割振り制度がありますが、4週間単位の変形労働時間制が活用されている学校はきわめて少数にとどまります。そのような状況の中で「一年単位の変形労働時間制」が制定されても、実際に勤務時間の短縮や休日のまとめどりがおこなわれるとは思われません。

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一年単位の変形労働時間制導入反対の要望書.pdf
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