非常勤講師の超過勤務に対する報酬未払いのおそれがあることを受け、県教委が改善に乗り出しています。このことについて8月24日に古田知事は定例記者会見で、「非常勤講師が活躍できるように労務環境と労務管理に配慮を」「実際に働いた分をきちんと支払うのが原則だ」と述べました。非常勤講師には授業準備やテストの採点、打ち合わせ等の勤務ができるように一定の割合で準備等の時間があります。しかしその時間が十分でないために、時間外勤務をしても報告できないケースがあります。無報酬にならないように十分な準備等の時間が必要です。この問題について、岐阜教組は8月29日に書記長談話を発表しました。
【談話】 非常勤講師の残業代未払いについて
2023年8月29日
岐阜県教職員組合
書記長 岡山佳代子
先日、「公立小中学校の非常勤講師の残業代が支払われていない恐れがあるとして、岐阜県教育委員会が今年度から改善に乗り出した」との新聞報道がなされました。
非常勤講師は教職員給与特別措置法(給特法)が適用されないため、4%の教職調整額は支給されません。一方で「時間外勤務手当及び休日勤務手当は支給しない」という制限も適用されません。つまり、非常勤講師は残業したら残業代が支払われる立場です。ところが非常勤講師は教員免許を持つため、しばしば「給特法」の適用を受ける正規教員のような扱いを県および市町村教育委員会から受けてきました。また、現場の学校管理者や当事者である非常勤講師においても同様な誤解が見られました。
私たち岐阜県教職員組合(岐阜教組)は、非常勤講師の正当な待遇改善を求めて、岐阜県教育委員会(県教委)と数年にわたり粘り強く交渉を繰り返してきました。その結果、今年度から小中学校非常勤講師について、昨年度まで春休みが任用期間から除外されていたのが県立学校非常勤講師と同様に4月1日から3月31日となり、春休み中に始業準備ができるようになりました。また、授業時間の4分の1の割合で配当されている時間(準備等時間)は、昨年度まで授業準備としか書いていなかったのが、テストの採点や成績処理、打ち合わせなどの勤務ができることも明記されました。これらの県教委の施策は大きく評価できるものです。
ところで、非常勤講師の授業以外の労働に対する報酬を支払わないことは「ただ働き」を強制することであり、労働基準法違反であることも指摘してきました。古田知事も「非常勤講師が活躍できる労務環境と労務管理に配慮を」と8月24日の定例記者会見で述べました。
非常勤講師の報酬の年間予算は文科省が定める年間授業時数(35週)をもとにたてられています。しかし、小中学校の多くは35週を大幅に超えた授業計画を策定し実施しています。そのため、年度末まで授業がおこなえなかったり、準備等時間を授業時間に振り替えらざるを得なかったりする実態があります。また「授業時間6時間に準備等時間1時間」といったように4分の1未満の準備等時間しか配当されず、実際に準備等で勤務した時間を報告できない例もあります。
こうした報酬未払いの実態は県立学校非常勤講師にもあります。県教委は、県立学校非常勤講師に、受け持つ授業に準備等時間を含めた勤務時間(週1コマにつき年45時間)を設定しています。その準備等の勤務を報告できるように県下統一様式の「勤務管理票」を使うように昨年度に指示しました。ところが、今年度になっても新しい「勤務管理票」を使用しないため準備等時間の報告がなされず、その報酬を支払わない学校があることが明らかになりました。
また、ある実習関係担当の非常勤講師は設定された準備等時間を大幅に超えた勤務をせざるを得ず、長時間の無報酬の勤務を強いられています。
私たち岐阜教組は、今後も非常勤講師の適正な労働条件の確立および改善をめざしていきます。
以上
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