ほんりゅう 2021年1月20日(長澤)

鳥インフルエンザ・豚熱(豚コレラ)・BSE(狂牛病)といった家畜に関わる伝染病が発生すると、同一の飼育舎の家畜は罹患していなくても殺処分される▼病気の動物を救おうとするのではなく、殺し処分するということが正解になっていることに違和感を持ち続けている。人間であれば一人を救うのに多くの労力をかけるし、命を粗末に扱う犯罪や戦争は悪として断罪される▼新型コロナの感染拡大が止まらないが、当然家畜のような扱いはしない。人間と家畜を同列に取り上げるな、と批判されるかもしれない。私の中でも理性的には答えは出ているーー家畜は「経済動物」という人間の生命・暮らしを支えることを目的としているから。人間を「殺処分」しないのは、人間であるというだけで命を大切にされなければならないから▼しかし、これにも違和感がある。トランプ政権下のアメリカでは多くのコロナ犠牲者が出ているが、それは低所得者層に多いという。経済格差が命の選別につながっていないだろうか。コロナ以外にも、利益優先で企業の「歯車」となった労働者の過労死や自死。人格の完成ではなく、人材の育成だけを目的とする教育。多くの人間が「経済動物」にされ、役に立たない者は「殺処分」されるなんてのはご免だ。

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