岐阜教組は、郡上特支講師の自死が公務災害認定されたことをうけて、5月4日に書記長談話を発表しました。
【談話】郡上特支講師の自死が公務災害認定されたことをうけて長時間過密労働解消と各種ハラスメントの根絶を求める
2017年5月4日
岐阜県教職員組合
書記長 岩田高明
新聞報道によると,「2013年5月に岐阜県郡上特別支援学校の講師の方が自死されたことについて,公務員災害補償基金県支部は,公務災害と認定」したことがわかりました。過重な労働と上司による叱責によるストレスが原因とされています。
まずもって,亡くなられた講師の方のご冥福をお祈りするとともに,ご遺族の皆様方に心からお悔やみを申し上げます。
さて,今回の郡上特別支援学校の男性講師の方が公務災害が認定された理由として,以下のことに因果関係が認められたとされています。
- 自殺直前の約3か月間の時間外勤務が,月に66~80時間あったこと
- 講師1,2年目にしては量的にも質的にも過重な業務が与えられ、長時間の時間外勤務や自宅作業を余儀なくされたていたこと
- 人間関係に強い心理的負荷を感じ,自死の数日前にはうつ病を発症していたとみられる中、前日には指導役教諭から激しく理不尽な叱責を受けていたこと
「教職員がいきいきと働き続けることができる職場環境」「教職員が健康で元気に子どもたちの前に立つことができる職場環境」を要求している私たちは、県教育委員会に対して次のことを強く要望するものです。
1 今回の自死の原因である,過重な業務押し付けや上司からの叱責に対して,県として責任を認め,亡くなられた講師の方のご遺族の方に対して誠実な対応をすること。
2 過重な業務,分掌が一部の教職員に偏らないよう,適正に配置・決定されるよう管理職の研修を行うこと。
3 各種ハラスメント防止のために,以下の点について実施すること。
(1)各種ハラスメントの相談窓口の周知を毎年行うとともに、相談することが本人に不利益とならないこと、気軽に相談できる事を周知すること。
(2)各種ハラスメント防止のために,管理職研修を徹底すること。
(3)各種ハラスメント防止指針の周知を,全教職員に改めてはかること。
(4)ストレスチェックを全教職員に徹底して実施し,結果を公表すること。
4 総括安全衛生委員会で,過重な業務やパワハラ,ストレスチェックなどについて,より踏み込んだ論議をおこない,教職員の労働安全衛生環境の向上と再発防止を推進すること。
5 長時間勤務の縮減,解消に向けて,以下の点について努力すること。
(1)教職員加配のための予算を獲得すること
(2)業務削減,各学校での業務分担のあり方の改善をはかること
自死された方が講師の立場であったことは、ハラスメントの要因になったと考えられます。昨年度から開始された「新勤務評価」は、正規教職員だけでなく、非正規教職員にはより大きな圧力となり、ハラスメントを誘発しかねません。任用は、立場の弱い講師ではなく、正規教員とすべきです。
さらには、今回の事件が起きた当時、郡上特別支援学校では教職員に厳しい箝口令が敷かれたようです。自死された方のご遺族の心情に配慮することは理解できますが、原因となった過重労働やハラスメントを覆い隠すことにつながりかねないことを考えると、大きな問題だったと考えます。
また、私たち教職員組合も、「組合として何らかの支援ができなかったか」「頼られるだけの力量や信頼を得るべきである」と自戒しています。その上で、働きやすい職場環境をつくるとりくみをさらに強めるため、具体的に以下の事を提案します。
(1)長時間勤務縮減について,できることから取り組もう
(2)各種ハラスメントが起こらないよう,対話と共同を広げよう
(3)管理職に対して,各種ハラスメントを防止するよう要望しよう
今後は、このような事が決して起こることがないよう、切に願いつつ、岐阜県の教育界全体で取り組んでいくことを呼びかけます。
以上