先日、「生き抜く ~南三陸町 人々の一年」というドキュメンタリー映画を見た。去年の3月11日以降東北にこだわり続けてきたボクとしては、是非とも見たい映画だった。◆しかも、これまでに4回も行ってしまった町が舞台の映画で、見覚えのある景色の中での悲話を予想したボクは、涙は必至と覚悟を決め、タオル片手にスクリーンに向かった。しかし、見事肩すかしを食らってしまった。◆そこで描かれた、生き残った人たちの物語はもちろん悲しいものばかりだったが、あえてナレーションを排除し、BGMも極力抑えることで、その生き様がジワーッと染みこんできて、とにかく良かった。◆そこに描かれた人たちの顔はとっても印象的だった。同じ職場で働いていた奥さんを津波に奪われ、遺された小さなお子さんを懸命に守るお父さんに「やっぱり家族って良いよな」と思った。仮設住宅の抽選に外れ続けて投げやりになる、身よりのないお婆さんに、思わず「くじけるな!」と声をかけたくなった◆東北はいかにも遠い。しかし、思いを寄せることはできる。震災から1年半を超え、震災と原発事故、そしてそこで生き抜く人々の生き様を伝えるドキュメンタリー映画や劇映画が公開されるようになってきている。今こそ忘れるのではなく、振り返って、しっかり心の底におさめるためにもこういった作品に接することをおすすめしたい。◆ボクは、「忘れない」ことと「忘れないよう呼びかけていく」ことが最大の課題だと思っている。