あの日、3月11日を契機として、私たちは人の命の重みについて深く考えるようになった。かけがえのない多くの命を、本当に救うことはできなかったのか。そんな思いが幾度となくよぎる。
命を奪い、脅かすものは、もちろん災害だけではない。
次の詩は、小学校1年生の時に父親を過労自殺で亡くしたマー君が書いたものである。これほどまでに辛い「夢」を私は知らない。
「ぼくの夢」
大きくなったら
ぼくは博士になりたい
そしてドラえもんに出てくるような
タイムマシーンをつくる
ぼくはタイムマシーンにのって
お父さんの死んでしまう
まえの日に行く
そして「仕事に行ったらあかん」ていうんや
7年前、新採1年目の9月に自ら命を絶った木村百合子さん。彼女の死が公務災害かどうかを争う裁判の判決が、先ごろ静岡地裁であった。判決では、担任していた学級の困難さと新人教師に対する職場や教育委員会の木村さんに対する支援の弱さ、さらには労働条件の過酷さをその要因として認めた。被告の公務災害基金が、控訴を断念することを切に願う。
これらは他人ごとではない。私たちが生きているこの社会で現実に起きていることなのだ。「命を守るためには、何をしなければならないのか」今年一年、この課題に向き合っていこうと思う。