岐阜県内の教職員のみなさん、ぜひ一緒に参加しませんか?
○日程:2012年1月7日(土)~9日(月)
○会場
7日全体会/びわ湖ホール (滋賀県大津市)
8日・9日/ピアザ淡海・コラボ滋賀・大津市勤労福祉センター
○参加費:3000円(1日のみ参加は2000円、フォーラムのみ参加1000円、父母・学生は500円)
主催:全教障害児教育部・教組共闘連絡会・滋賀実行委員会
【お問い合わせ】
全教 TEL 03-5211-0123 FAX 03-5211-0124
岐阜教組 TEL 058-215-7301 FAX 058-215-7303
1/7(土)
全体会 13:00~17:00
全体会会場:大津/びわ湖ホール(アクセス:JR「膳所」駅で京阪乗り換え。
京阪「石場」駅より徒歩約3分)
◇ 現地あいさつ
◇ 実行委員長あいさつ
◇ 基調報告
◇映画と語り 13:40~14:40
映画「夜明け前の子どもたち」監督:柳澤壽男/1968
この映画の舞台となる「びわこ学園」は西日本で初めてできた重度の障がいをもった子どもを支援する施設です。この施設で働く人たちが障がいをもった子ど もの発達について考え、話し合い、実践していく様子が記録されたドキュメントです。障がいをもった子どもの発達を保障するためには何が必要なのかが描かれています。
「個人の尊重」を最高の価値とする日本国憲法の下で、障がい者の権利も最大限保障されなければなりません。このことをあらためて確認させてくれる作品です。
◇記念講演 15:00~17:00
『発達保障の歴史に学び、今と未来を創造する』
講師:白石正久さん(龍谷大学)
発達保障は、人間の尊厳と自由、発達への権利を保障しようとする理念であるとともに、その理念を実体化、実質化していく実践や運動でもあります。その実 践と運動のなかから、人間の発達の原動力、社会の進歩の原動力への確かな認識を共有し合い、互いの価値を認め合える人格が形成されていくことでしょう。
今回の講演では、環境に子どもを従属させ、それへの適応を求めるような教育ではなく、子どもたちの心がキラキラ輝き、自己変革への発達要求がたくましく育つための教育的環境とは何かを、みなさんといっしょに考えてみたいと思います。
◇ 閉会あいさつ
全体交流会 18:00~ 参加費6,000円
交流会会場:琵琶湖ホテル
住所:滋賀県大津市浜町2-40
電話:077-524-1255
アクセス:京阪浜大津駅より徒歩5分
JR大津駅(北口)より徒歩約10分
1/8(日)
てんこ盛り講座 9:30~11:30
1,わくわくどきどき楽しい国語 山下弥生さん(東京)
図書室や本屋さんに並ぶ絵本の中から、子どもたちの国語の教材を見つけ出し、それを使って楽しく学び、力をつけていく。注目のさせ方から、登場人物の気持ちの読み取りまで、絵本を使った授業の実践をお話します。
2,わくわくどきどき楽しい算数 北川祐子さん(埼玉)
数をまとまり《集合》としてとらえると、子どもの認識が広がり、数えたしではつかめなかった世界が開かれていく。子どもの姿から学び、子どもたちとともに作ってきた算数の授業の実践をお話しします。
3,わくわくどきどき楽しい理科 水谷龍雄さん(愛知)
“楽しく考える&わかる”にこだわった理科の授業。ホントのホネでホネのズイまで勉強しよう!デンキビリビリでヒラメキもビリビリッ!目からウロコの愉快な龍雄ワールド、スタート!
4,わくわくどきどき楽しい美術 板井理さん(大阪)
絵は子どもの心を写す鏡です。絵を通して、子どもの育ちや願いを知り、子どもをもっと好きになりましょう。
5,わくわくどきどき楽しい体育 中村芳道さん(京都)/関口正和さん(東京)
走る運動、サーキット、ボール運動、ダンス、表現などの授業を紹介し、実技もやってみます。障害児の体育の授業づくりについて深めていきましょ う。全国障害児体育研究会(HPもあります)のメンバーが全国的な視野で分かりやすく体育の授業づくりをお伝えします。軽く運動のできる服装で来てくださ い。
6,げんきにやろうよ性教育 岡野さえ子さん(山口)
“自分と自分の周りの人を愛し、大切にする心を育みたい”と願って始めた性教育の授業実践を紹介します。
子どもたちの興味津々のまなざし、はにかんだ笑顔が教えてくれたものは・・。何はともあれ、やってみましょう!きっと素敵な発見があるはずです。
7,障害児学級の授業づくり 福島緑さん(京都)
こどもたちの心と体が弾みだす教育とは?こどもたちの願いをどう溢れさせ、その願いを汲み取り近づくとは?仲間を意識し、仲間と育ち合うことの心地よさに寄り添って思いを共有するとは?先輩の先生方から受け取った京都の教育理念の素晴しきバトンが渡せますように。
8,障害児学校の授業づくり 羽田千恵子さん(滋賀)
重症心身障害児と言われる子ども達、移動手段や手指の操作力を持たない場合でも持つ場合でも、それぞれが主体性を発揮したくなる、生き生きと学ぶ授業づくりって!~‘朝の会’や‘みる・きく・はなす’‘うた・リズム’などを通して~
9,学ぼうLD・ADHD児の指導 窪島務さん(滋賀大学)
LDやADHDの子どもたちの指導について、滋賀で活躍されている窪島先生からわくわく、どきどきの講演をしていただきます。
10,発達保障の源流を学ぶ 中村隆一さん(立命館大学)
「この子らを世の光に」ということばは、「発達しない」「教育は無意味」と考えられていた時代に、障害児に取り組む中で人間発達の真実を取り出そうとした近江学園の中でうまれました。それに込められた思い、そこで得られた発達の見方やとらえ方を学びます。
11,「大津方式」を学ぶ 西原睦子さん(滋賀)
大津市では、1974年に「乳幼児健診・大津方式」という画期的なシステムを構築し、「発達障害児の健診もれ、発見もれをなくすことが対応もれをなくす」という理念のもとにとりくんできています。ぜひ、いっしょに学んでいきましょう。
12,子どものみかた、とらえ方 竹沢清さん(愛知)
実践のキーワードは、「安心」と「納得」。「安心」―大震災・原発事故は、「安心できる居場所、自分を出せる集団・生活」の大事さを、改めて教え てくれます。「納得」―自閉の子は、見て動くのではなく、見て、“納得”するから行動する。となれば、“納得優位”。2つのキーワードをもとに、実践の勘 所を語ってみたい。
13,楽しく学ぼう働く力 船橋秀彦さん(茨城)
働くために必要な力は?近江学園の調査に学ぶ。昔もあった学校工場方式と反省。自分さがしと結んだ実習で大事にすべきこと。全国の作業学習や進路学習、実習の紹介。夢と希望をはぐくむ「キャリア教育」。
14,つながろう障害児学級 全教障教部事務局
今困っていること、悩んでいることを率直に語り合い、また、各地での学習会やつながる取り組み等全国の状況を知ることで、きっと展望が見えてくることでしょう。元気になることができる貴重な2時間です。
15,集まれ臨時教職員 宅間博昭さん(京都)
「正規採用されないのは力量がないから」なのでしょうか?「正規ではダメだけど臨時ならOK」っておかしくありません?子ども、父母の願う、そして私たちがめざす学校づくりと臨時教職員制度について、みなさんで考え合いましょう。
文化バザール 9:30~11:30
子どもと一緒に歌いたい歌・歌あそび 北川健次さん(滋賀)
講師は、小学校で組合主催のイベントで活躍中。今回も歌と歌遊びを中心に指導してもらいます。
よし笛講座 びわ湖よし笛アンサンブルやす
講師は滋賀県の南部で、葦を育てることによって琵琶湖の環境を守ることを伝える活動をされています。葦笛の作成(100円)と葦たて笛体験(1本3,000円・借用)を行います。
マジック講座 シ・オ・ミ(滋賀)
講師は、この道30年のプロのマジシャンで、関西を中心に活躍。滋賀県守山養護学校に10年前より指導に来ています。30分の演技とマジックの実技講習。物品の販売も行います。
大道芸 丸ちぇろ(滋賀)
講師はプロの大道芸人で、守山養護学校や幼稚園、保育園、公民館等で指導されています。30分の演技と大道芸の講習(ジャグリング、デビルスティック、ディアボロ等)を行います。
科学実験 黄野瀬(滋賀)
明日からの授業で生かせる、子どもたちを思わず引き寄せてしまう様々な科学実験を紹介し、一緒に作り、学びます。
基礎講座 12:30~17:30
1,子どもの見方Ⅰ 三木裕和さん(鳥取大学)
「障害のある子どもの教育―希望と信頼で導こう、子どもの発達」
子どもが好きでこの仕事に就いたはずなのに、気づけば、「客観的に評価可能な目標」に向かって、「試され済みのマニュアル」にもとづき、味気ない 努力の日々 が続いている。これで授業と呼べるのか、これで教育といえるのか。大声で叫びたくなるけれど、勢いのいい人たちに批判されそうで、ため息さえ遠慮がち。職 員室でわいわいと子どものことを話し合い、励まし合って明日を迎える。そんな学校はもう夢物語なのか。そう嘆いているのは、あなただけじゃないよ!
希望と信頼で子どもの発達を導こう。そのために、何が必要なのか。あなたは間違っていなくて、間違っているのはいったい誰なのか。それをいっしょに考えましょう。
2,子どもの見方Ⅱ 高阪正枝さん(滋賀)
「薫さんとの歩みから」
今年成人式を迎えた薫さんと、ふたつ違いのお姉さんの昔を振り返りながら、「人が育つには何が大事なのか」ということを、自閉症児である息子さんの子育てを通じて理解してきたことを語していただきます。
旬の実践分科会 12:30~17:30
1,小学校での教育実践 越野和之さん(奈良教育大学)
≪レポーター≫
・石垣雅也さん(滋賀)「通常学級における特別支援教育~何を実践の中心に据えるか~」
障害特性に応じた…というフレーズをもとに、通常学級にクリニック的な技法を持ち込むことが専門的な特別支援教育であるかのような風潮がある。し かし通常学級において担任が実践の中心に据えるべきことは、機械的な行動変容を求めるのではなく、子どもの人格形成に対する特別な働きかけをすることにあ ると考えている。本報告を通して、3人の子どもへの事例から通常学級における特別支援のあり方について考えあいたいと思う。
・原田早苗さん(兵庫)「支援学級は楽しいところです」
入学当初、周りに手を出すので、危なくて目が離せなかった自閉症のニノちゃん。そのニノちゃんの大きく成長した2年間の日々を振り返ってみます。 また、支援学級での日々は、楽しいものでありたいといつも思っていますが、支援学級で、具体的にどんな取り組みをしているかも紹介したいと思います。そし て、卒業後を見通してという観点から、14年目を迎える卒業後の青年学級についても紹介します。
・山田貴子さん(山口)「障害児学級と交流学級でともに育つ」
一口に障害児学級と言っても、県や地域、学校によってそのあり方は色々です。本学級(在籍2名)では、教科や内容によっては交流学級で学習してい ます。子どもたちを見ていると、障害児学級で育つところ、交流学級で育つところがあります。ただ、そのバランスは、子ども一人ひとり違っていて、とても難 しいと感じています。また、交流学級の子どもたちが、障害児学級の子どもたちから学んでいく姿もレポートしたいと思っています。
2,中学校での教育実践 藤森善正さん(大阪)
≪レポーター≫
・加藤由紀さん(大阪)「中学校支援学級で大切にしてきたこと~集団と個別~」
「思春期の多感な時期を一緒に過ごす支援学級。思いを話し言葉にし、対話を書き言葉にしていきながら内面に寄り添う個別の指導と、集団の時間を保 障して集団でのとりくみと育ちあいを組織する集団の指導、その両方を通して達成感と自信をつけ、人間の文化を手渡せる学級でありたいと願ってきました。試 行錯誤ばかりのつたない実践ですが、個別の指導が集団の質を高め、集団の中で個別の課題が達成される側面を考えてみたいのです。
・田島益子さん(埼玉)「中学校での授業づくり」
教科のとりくみ(生徒と一緒に学び合う)、進路学習(親の願いを大切に)、話し合い学習(自己表示できる)、エンカウンターの授業(社会性をのばそう)、コーディネーターの役割(校内での支援体制づくり)について、中学校での3年間のとりくみを中心にレポートします。
・村田信代さん(山口)「青年期の子どもに寄り添って」
「通常学級の生徒と遊べる生徒に育てたい」ということをいつも考え日々授業に取り組んできました。でも、ある時、自分らしさが出せる、自分に自信 が持てる生徒に育てていくことも大事だと気づきました。そんな私が、知的障害の我が子や特別支援学級の生徒と一緒に歩んできた毎日を振り返り、参加者の先 生方と思春期・青年期の子どもの心や自信のつけ方について考えていきたいと思います。
3,発達障害児の教育実践 青木道忠さん(大阪)
・川村和人さん(滋賀)「普通科高等学校における特別支援教育」
養護学校から高等学校普通科に転勤し、5年間を経て養護学校に戻った。高等学校では障害のある10数名の生徒に出会った。2次募集で定員を充足さ せる困難校へは、学習の遅れは見られても一般高校を受験させていた。特別支援教育が始まっているはずの高等学校では、困っている生徒の権利擁護の観点 は弱い。では、養護学校がいいのか?それも簡単には答えが出せない。軽度発達障害の生徒たちの就学と進路保障をどうすればいいのか。暗中模索の只中を報告 する。
・中川陽一さん(京都)「通常学級内での特別支援のあり方」
普通学級内で特別支援の児童を受け持った担任は、多かれ少なかれストレスを感じるものである。支援の内容によっては、登校時から下校に至るまで 「一瞬たりとも気が抜けない」と言う場合さえある。校内のコーディネーターや特別支援の先生方からさまざまな助言をもらいながらも、「結局担任が一人で対 応するのか」「これまでの経験が通じないどころか、かえって判断を狂わせる」「いろいろやってみるが、必ずしもこの子にはうまく行かない」、いつしか「こ の子さえいなければ・・・・」と落ち込んでしまう毎日。そんな中で、クラスの子どもに支えられたり、保護者の協力を得たり、同僚から励まされたりしつつ、 なんとかかんとかやってきた一年の実践を紹介したい。是非忌憚のない論議をお願いしたい。
・高木伸子さん(東京)「高校の現場で特別支援教育を考える『みんなでできてよかったね』」
通常学級における特別支援教育はどこから出発したのだろう?通常学級での特別支援教育は子どもたちにとってどういうものであるべきなのだろう?不 登校や発達障害の子どもたちの多く学ぶ院内学級を経て、都立高校に勤める報告者が、今まで出会った子どもたちの姿や、今教えている現場での授業の様子を中 心に話します。特別支援教育は方法論でなく、子どもたちに寄り添い子どもから出発する、教育の理念から語られるべきものです。
4,視覚障害児の教育保障 大前俊夫さん(大阪)
・長尾博さん(滋賀)「全盲児の平面的イメージの初期段階を豊かに育てる自立活動」
触察したイメージを言語化・動作化・立体化して表出するだけでなく、そのイメージを平面的イメージにまで加工できる力を育てることが全盲児の空間 認識発達を保障する。点字も地図も読めればいいのではなく、それを通して新しく知り得た知識が次のイメージを喚起するものであってこそ、学ぶ楽しさが生ま れる。全盲児を育てる上で大切なことは、やがて広がるイメージの種を意図的に選定し、どの段階で蒔いていくかである。
・辻岡均さん(大阪)「視覚障がい教育を支える専門性について」
視覚障がい教育とひと口に言っても、「保有視力を有効に使う弱視児の教育」「目の代わりに指先を使って読む全盲児の教育」「併せ持つ障害に配慮し た重複児教育」の三つの教育がある。余りにも幅広い領域であるため、専門性をもつにはそれなりの年月がかかる。全国に「視覚」(盲)の名がつく学校は65 校しかない。たとえば、小学部で点字の初期指導ができる教師は何人残っているだろうか?中・高等部でも各教科の担当者は何人いるのだろうか?職員の短期で の転勤など、レッドデータブックに載っているような専門性の現状を、各県教委は全く理解していないようである。視覚障がいの学校に勤めるものとして、専門 性についての基本的なことと併せて、その上にあるべき教科や学部のもつ専門性について考える。
・江口美和子さん(埼玉)「『障害と仲間を受け入れ自分らしく』~美樹が歩み始める時」
一般中学校から高等部普通科1年に入学した美樹の3年間の取り組みの報告。3年間をかけて、美樹は自分らしさの問い直しをした。「私は馬鹿だ!」 と言い続ける美樹。傷ついた自分と向かい合うとき、たった3人のクラスの中で自己と仲間の世界をつくり直そうとした。その中で、美樹は自分らしさを輝かせ た。また、教員である私自身も変革させられた。そんなクラスの3年間を、是非知ってもらいたい。
5,聴覚障害児の教育保障 森原都さん(滋賀)
≪レポーター≫
・ろう話学校幼稚部(滋賀)「ろう話学校幼稚部 5歳児のとりくみ」
聴覚に障害のある乳幼児が、早期に、発達段階に見あった言語力を獲得することは、私たちの永遠のテーマであり、必須の課題でもあります。聴力、保護者、家庭等の子どもをとりまく情勢は多岐にわたっています。滋賀ろう幼稚部は、この目標に到達しようととりくんでいます。
・石原辰夫さん(兵庫)「ろう学校で社会の授業を!!」
ろう学校に来て11年になる。普通高校で20年以上、日本史を中心に社会を教えていた私にとって聾学校での授業はとまどいの連続だった。普通校で の授業はいろんなエピソードを紹介して生徒に歴史に対する興味を持たせる。現実の社会でおきている事件や事実の不思議さを紹介し、新聞やテレビのニュース に関心をもたせる。そんな授業をめざしてきた。しかし。聾学校では生徒とコミュニケーションをとるのが難しい。小さい頃からの社会に関する情報量の積み重 ねが少ない。そんな中で少しでも歴史や社会の面白さを伝えたくて授業の方法を考えた。
・小出千恵子さん(埼玉)「仲間と共に自分らしく……地域で学ぶ難聴児への支援」
地域の小・中・高等学校に在籍する難聴児を対象とした「きこえとことばの教室」の実践と、坂戸クラブの取組みの報告です。難聴は、周囲からなかな か理解させず、子ども達は様々悩みながら過ごしています。教室では、自己肯定感を育て、仲間と共に自分らしく生きてほしいと願っています。また、坂戸クラ ブは、ろう者・学生・手話関係者・保護者・教員ボラが企画し、ろうの子ども達や手話で話す大人との交流の場です。
6,発達の遅れと授業づくり・教育課程づくり
ア、最重度と言われる子どもたち 原田文孝さん(兵庫)
・木澤愛子さん(滋賀)「『学校が好き』『先生が好き』『勉強って楽しい』~重度重複クラス小1・2組『こくご』の授業つくりから~」
1年生が4人の新鮮なクラスでしたが、1年かけて「学校が好き」「先生が好き」になり学習を通して様々な楽しさがわかりつつあります。「こくご」 のようなお話そのものの良さを感じたり鑑賞したりすることも「楽しいな」と感じ始めています。1年を振り返り、伝えたいことは何なのか?子どもたちの生活 や課題に思いを巡らせて押さえ、授業づくりをする中で子どもたちも教師集団も成長してきたのではないかと感じています。
・児島弘子さん(和歌山)「Aちゃんと一緒に…みんなで一緒に…」
久しぶりに担任した訪問学級のAちゃんは、先天性代謝異常の進行性の病気で、人工呼吸器をつけ、サチュレーションでSpo2と脈拍を管理し、発作 を頻発して高熱を出す等体調が安定せず、働きかけのタイミングや表情の読み取りも難しい子である。そんなスクーリングもままならない彼女が、初めて本当の “笑顔”を見せた校外宿泊学習の取り組みを含めて、命を守ることが最優先される重症児の教育をどう保障していくかについて報告する。
・澤田京子さん(高知)「障害の重い子の授業づくり」
学校は、重症心身障害児施設に隣接する肢体不自由児の分校です。子どもたちは、緊張や過敏など体への不快が多く、視覚や聴覚の障害を重複している 子もいて、まわりがわかることに多くの制約を受けています。子どもたちが安心して、大人と一緒に「気持ちいいなあ」「楽しいなあ」と共感し、経験し、わか る世界を広げたいと、リトミックや季節や生活をテーマにした学習、お話などの授業づくりなどに取り組んでいます。
7,発達の遅れと授業づくり・教育課程づくり
イ、ことば獲得期までの子どもたち 櫻井宏明さん(埼玉)
・岡田徹也さん(滋賀)「“モノ”に支えられるのではなく、人を支えに」
「気がつけばいない」「やらんでもいいことを次々しでかす」「なんでもイヤ!」「困ると固まってしまう」「いつも大荷物」・・・。困った子とし て、見られやすい子どもたち。見方をかえれば、悩んでいる姿。1時間の授業の中で、どこかに輝く出番があるとき、いつもとはちがう姿を見せる。私たちはそ のような姿が見たいという願いで、楽しい授業を教師集団でつくっている。
報告では、集団について、討議をしていきたいと思っています。
・土橋知幸さん(奈良)「小学部1年生の『朝の会』のとりくみ」
昨年度4月に11名の1年生を迎え、不安そうな顔をしていた子どもたちの1年間の成長を「あさのかい」の時間に焦点を当て、考えてきたことや大切にしてきたことをふり返り、様々な意見交換ができればうれしいです。
・関根由佳さん・上平緑さん(埼玉)「『絵本の世界を楽しもう』~ワニワニのおでかけ、さつまのおいも」
小4~6年生の6人はみんな絵本が大好き!『ワニワニのおでかけ』のワニワニみたいに花火や金魚すくいをしたり、焼きそばを作って食べたりして縁 日ごっこを楽しみました。『さつまのおいも』ではふかし芋を食べ、ブーブークッションでおならをし「くさい!くさい!」。劇ごっこではおいもになってダン スを踊ったり、お百姓さんと綱引きをしてスッポーンと抜かれマットに倒れこんだりなど、絵本の世界をたっぷり楽しみました。
8,発達の遅れと授業づくり・教育課程づくり
ウ、教科・教科入門の子どもたち 杉山敏夫さん(東京)
≪レポーター≫
・岩崎徹さん(滋賀)「R君・H君の言語の力を高める取り組み」
特別支援知的障害児学級(在籍児2名)の実践である。毎日の読み聞かせとともに、児童の興味関心と発達段階を絡めて、学習計画・教材選定を し、言語への関心を高める学習を継続してきた。また、在籍児の1名が不登校状態にあることから、学習に充実感を味わい、成功経験として心に残すことを意識 した。2名の児童の言語への関心は高まり、言語の学習に意欲的に取り組めるようになった。
・川端千央さん(和歌山)「友達とつながる学級づくり」
それぞれが、不安や自分に対する自信のなさを抱えた中学部新入生6人のクラス。日々のいろいろなできごとを通して、友達とつながり、お互いの事を 少しずつわかりあっていく子ども達。そんな子ども達と向き合いながら「自分に対する自信を育み、豊かに人と関わる力を蓄えていってほしい」との思いを持っ て、育ちあう集団作りを目指しました。視野が狭くなりがちな「個別化教育」の広がる中で、悩みながらも少しでも視野広く子どもたちと関わりたいと思ったさ さやかな実践です。
・福田真智子さん(埼玉)「あこがれ・共感をこめて-学級集団を基礎とする教科学習を-」
学齢、発達課題の大きく異なる子どもたちの集団を前に、生活や授業において、その学齢などの違いを子どもたちの関係作りに活かしたいと思っていま す。大きい子たちの活動にあこがれを持ち、それぞれの活動を尊重できる関係を作れるような授業を求めていきたいと思っています。具体的には昨年の実践をも とに教科の授業の基礎とは、どのようなことが大切にされなくてはいけないかを提起できればと思っています。
9,自閉症・自閉的傾向のある子どもたちの授業づくり・教育課程づくりⅠ(幼、小) 白石正久さん(龍谷大学)
・伊藤みどりさん(滋賀)「麗ちゃんの思いがわかるとき~試して、失敗して、試して、『そう思ってたのか!』~様々な知見を知りつつ、教師が納得いくものを積み重ねよう。方法論を超えた『真実』をとらえるために~」
人を叩いたり水を撒き散らしたりと「問題行動」が多く、友達と一緒に生活できなかった麗ちゃん。障害特性から混乱しているのではない、「悲しい」 「悔しい」を訴えているのではないか、彼女の幸せは?と考え、実践や関わりを変えていった。試して、失敗して、試して、彼女の考えていることが分かり「そ うだったのか!」と感じられるようになると、私の関わりが変わり、麗ちゃん自身も変わっていった。彼女が「幸せそうにしていれば」何でもよしなのではない かという思いをまとめた。
・川口慎司さん(大阪)「『イヤ!』と言える良ちゃんになってほしい-「共感」することで「表現」を引き出す」
「良ちゃんは小学部6年の男の子。普段は大人の言うことに従い、一生懸命に頑張ります。しかし、一度崩れると暴力行為がはひどく、周囲はそれを押 さえるのが精一杯です。良ちゃんが崩れる原因―良ちゃんの抱えるしんどさは、イヤなことでも頑張ってしまうこと、そして、気持ちを表現できないことではな いか。私はそう考え、良ちゃんの思いに寄り添いながら、どうすれば学校生活が楽しくなるか、試行錯誤していくことにしました。
・小池えり子さん(東京)「大規模学級の授業作り~『みんなで学ぶ』~を大切に」
東京では「学級」の在籍児童数が増加しており、うちの学級も27名の児童を抱えています。何より大切で難しいのは教員集団作り。大きい集団は苦手 だという子ども達も多い中、そこに配慮しつつ『みんなで学ぶ』ことを大切に授業を組みました。縦割り班での学び、学年・グループでの学びを組み合わせた授 業作りをレポートします。
10,自閉症・自閉的傾向のある子どもたちの授業づくり・教育課程づくりⅡ(中、高) 白石恵理子さん(滋賀大学)
・山下真寿美さん(滋賀)「信頼関係とは子どもを信頼すること~それを教えてくれたみかんちゃんとの日々」
自閉症のみかんちゃん。初めは行動に目を奪われながら、日々のつきあいの中でわかったことは、障害からくるだろうしんどさと、子どもらしい願い。 そして学んだことは、改めて人間として関わる時に大切にしたいこと。「子どもを信頼すること」、だから「子どもとしっかり向き合うこと、自分としっかり向 き合うこと」だった。
・福岡圭介さん(京都)「障害の特性と暮らしを見つめて」
自閉症で重度の発達障がいある中学生三人組のクラスです。ゆったりとした一日の生活の枠組みをめざした授業づくりを紹介します。着るもの、食べも のへのこだわりが強く、個室で過ごすN君。中学部への入学にともない、お母さんの不安も含め、場所も人も変わります。落ち着いて自ら活動に向かう姿と「モ ノ・ヒト・コト」との新しい関係性を築く姿が繋がる生活をめざして欲しい。一人ででもできる、みんなとできる、そんな暮らしを。
・松尾圭一郎さん(長崎)「『楽しい』と思える学校に」
Kくんは、中学1年生の男子です。教師の指示は素直に聞くことができ、パニックやこだわりもあまりない「おりこう」さんです。でも、表情や仕草、 学校での様子を見ていると、友だちはいるのかな、勉強は好きかな、学校は楽しいのかなと感じました。できることがいっぱいあるKくんです。ただスキルを伸 ばすのでなく、もっと豊かな学校生活を送って欲しいと思い接した1年間の記録です。
11,青年期の課題と授業づくり、教育課程づくり 小畑耕作さん(和歌山)
≪レポーター≫
・疋田真喜さん(滋賀)「『先生ありがとう』と言えるまで~2年間のキセキ:ゆうきさんとお互いぶつかりあって学んだこと~」
苦手なことに関してはひどく敬遠し、なかなか授業に入れないゆうきさん。授業が始まると、教室から飛び出し、先生に泣きつく姿もよくありました。 在学中は、がんばろうと言う気持ちとは裏腹に、できない自分が許せず、葛藤する毎日でした。現在は、社会人一年生のゆうきさん。お互いぶつかり合いながら の毎日でしたが「先生、ありがとう!」と、言えるまでに成長しました。目標をもってがんばるゆうきさんの3年間をふり返ります。
・北野裕子さん(大阪)「作業学習「紙工」でつけたい力~紙すき作業を通して~」
本校では、作業学習のひとつに「紙工」の授業も設け、主に牛乳パックや「こうぞ」等を使用した紙すきや紙工作にとりくんでいます。今年度の3年生 の授業では、学年で育てている「こうぞ」の枝切りから始め、紙すきを経て、卒業文集の表紙づくりなどにとりくみます。「紙工」は、個人より集団で物を作り 上げる作業です。集団で作業にとりくむ中でつけられる力は何かを考えつつ、日々実践にあたっています。
・野崎かのこさん(北海道)「『高校時代が人生の宝となるように』~Sちゃんの事例と本校の取り組みを通して」
本校高等部では、4年前の学部研修で「今の充実が将来の充実」というキーワードをたて、出口教育と言われる高等部教育のあり方に問いを立てまし た。それは、高等部教育が、将来のために行われる教育ではなく、青春時代をいかに謳歌し、充実したものにできるかが、将来へのあこがれや願いを持つことに つながる教育になると感じるものでした。生徒Sちゃんへのかかわりをあわせ、本校の取り組みについて報告します。
12,病弱・訪問の子どもたちの教育保障 猪狩恵美子さん(福岡教育大学)
・原和弘さん(滋賀)「M・Tくん小学部6年間のあゆみ(訪問教育の取り組み)」
就学前療育が全く受けられていなかった状態から、草津養護学校へ入学-訪問教育開始、病室から外の世界へ-車イスに移乗しての活動の広がり、在宅 移行から完全在宅へ。M・Tくんの小学部6年間のあゆみ(育ち)を共有するとともに、M・Tくんのさらなる生活の広がり・充実を目指して、今後大切にして いきたいことを教育条件整備(通学保障)ともからめながら論議できたらと思います。
・長島康代さん(京都)「自分でやりたい、誰かのためにがんばりたい~子どものねがいに沿った個別の指導計画づくり」
小学部の訪問生を、1年生から担任して6年目。「どんなに重い障害があっても、主体的な要求を持つことができるはず」と信じて、子どものわずかな 発信を記録し続け、「ねがい」を読み取ることに努めてきた。今年度、その「ねがい」を中心目標に据えた個別の指導計画を作成した。試行錯誤中の指導計画で あるが、作成する中で新たに気づいたこと、改めて実感したこと、疑問や不安に思ったこと等を報告したい。
・佐藤比呂二さん(東京)「すべての子ども達に“輝く生活”を~国立がんセンター内いるか分教室の実践報告~」
「病気になったから…」「入院したから…」、今までの生活から失われるものは計り知れない。目に見える生活の変化だけでなく、心には大きな不安が のしかかる。学習保障の観点から教科学習を!との発想は当然だが、それに加えて、失われた生活を”補う“だけでなく、「病気になったから」「入院したか ら」始まる新たな生活をどれだけ豊かにできるかという発想をもちたい。そう願う、いるか分教室での実践報告をご紹介したい。
13,特別支援教育と障害児学校、学級づくり(動向・運動・学校づくり実践) 荒川智さん(茨城大学)
・池下好司さん(滋賀)「滋賀の大規模化」
全国的な特別支援学校の大規模化は滋賀も例外ではなく、児童生徒の増加率がこの2009年までの10年間で全国1位の1.62倍もの増加率である ことが明らかになっている。しかし、この間、高等養護2校(1学年2クラス)と3校の改築だけで、実質2倍の児童生徒増に対して、小中高がある学校は1校 も作られていない。こうした実態から、本レポートは大規模化が施設設備面はもとより、教育そのものが変質していくものということを具体的な事例から明らか にし、学校建設の運動へとつなげていく活動を報告するものである。
近畿ブロック・東京、埼玉、神奈川、ほか
14,子どもの生活を考える(寄宿舎、放課後保障) 丸山啓史さん(京都教育大学)
≪レポーター≫
・ろう話学校寄宿舎(滋賀)「今を生きている手応え、今を生きる喜びが、明日を展望する笑顔をつくる」
高等部から入学入舎してきた生徒が、「一人でかまわない」と固くさせていた気持ちを、舎生活の中で少しずつ融かしていき、友だちと過ごす楽しさ や、友だちの気持ちに揺り動かされての感動等の体験を通して、今を生きている手応えや喜びを我がものにしていく姿を描いた。また様々な仲間との関わりの中 で感化されるような集団の組織化と、何よりも聴覚障がいを踏まえ、本児の状況を考慮しての指導が実践のキーワードであった事をまとめた。
・桐野千恵さん(京都)「入舎をきっかけに、学校が大好きになったRさん~笑って、泣いて、怒って…ぶつかりあいの中で育つ~」
ダウン症のRさんは、小5の2学期以降に不登校になり、生活の立て直しを目的に小6で通年入舎をした。人とのかかわりを通して、楽しさ,悲しさ, 悔しさ,怒り,喜びetc.を実感しながらたくさんの力を培い、より確かなものとするために今年度も2年目の入舎生活を送っている。本レポートでは、Rさ んの内面をどう捉え、何を大事に生活づくりをしてきたのか、保護者と何を軸に、どんな風に共同してきたのかについて報告したい。
・高橋健太さん(神奈川)「防災に対する安全指導を通して」
3・11の震災以降、職場でも子どもの命と安全を守るための議論を進めている。重複生、単一障害者との共同生活の中ではいろいろと課題はあるが、今回は寄宿舎という集団生活の中での安全指導を通しての報告をする。
15,青年の実践を竹沢先生と学ぶ 竹沢清さん(愛知)
・西川哲矢さん(滋賀)「体を動かす楽しさをたくさん味わう授業づくり~身体表現活動を通して~」
初任者として迎えたこの1年は、積極的に何かをしようと考えていました。その矢先に「レポートを書く機会があるんだけど、どう?」「レポートを書 くこと、人に聞いてもらうことは、若い先生にとって実践力を高める良い機会になるよ」と声をかけていただいたことをキッカケに、レポートを書くことにしま した。現実は、タイトルも揺らいでいる状態ですし、自分の思い、生徒の成長を『文章』として表現することの難しさを、改めて痛感している状態です。幸いに も、私には支えてくれる仲間がたくさんいるので「やれる」自信だけはあります。文章としてまとまるか分かりませんが、自分の気持ちに正直に書きたいと思い ます。
・山林哲さん(大阪)「『もう、わかってる!』をどう受け止めるかー自己ケアの実現に向けてー」
病弱・肢体不自由の児童は、教師や友達のサポートを得ながら日々の学校生活を送っています。ただその中では、本人の「どうしたいか」が見えづらく なっている側面もあります。また、困難や苦悩への周囲の無理解や、生活をサポートする体制の不十分さによる保護者の不安も深刻です。レポートでは、特別支 援学級で学ぶ子どもの様子を通して、介助やケアを必要とする子どもの「自立」について考えたいと思います。
1/9(月)教育フォーラム 9:30~12:00
Ⅰ,生活の危機は発達の危機
Co. 中村尚子さん(立正大学)、青木道忠さん(大阪)
Pa. ぽぽろスクエア.小野川文子さん
「自立支援法」から「障害者総合福祉法」へ。この間の障害者施策をめぐる情勢をとらえ、子どもの生活や、豊かな卒後のくらしについて考えてみましょう。
Ⅱ,とっておきの授業づくり、学校づくり
Re. 原田文孝さん.北川祐子さん
こだわりをもって授業づくり、学校づくりをしている3人の先生方にその思いを語っていただきます。日々の忙しさの中で忘れてしまいがちな大事なことに気づかされるお話しです。きっと明日からの実践に力がわくことでしょう。
Ⅲ,通常学級にいる困っている子どもたち
Co. 柴田昭二さん(大阪)
障害児教育が、障害児学級・学校だけではなく、通常学級でも大きな課題であり、その実態や課題も様々です。どの子も大切にする教育をめざして、課題を共有し、つながりを広げる場になっています
Ⅳ,高校・高等部における特別なニーズをもつ子どもたちの教育
Co. 白石恵理子さん(滋賀大学)
高等学校の中で学んでいる特別なニーズを持つ子どもたちの実態や、具体的な実践、就職100%を目指す学校での子どもたちの実態や実践を共有しながら今後の課題を明らかにします。
Ⅴ,青年教職員よろず相談、フリートーク
この集会に参加した若者が、感じたこと、疑問に思ったことを出し合える場をつくります。相談に乗れるベテランも配置します。
Ⅵ,親の本音、親の期待 植松久仁子さん(滋賀)
私たちは親とともにすすめる障害児教育をめざしています。滋賀県の親たちの学校や教員に対する期待や本音の声を出してもらい、学校づくりにつなげていきたいと思います。